近年「コミュニティ」という言葉が身近になり始める中、このコロナ禍で飛躍的に注目を集めるのが「オンラインコミュニティ」です。今や企業から個人規模まで、様々なコンテンツホルダーがオンラインコミュニティの運営をスタートしており、その存在はECサイトや音楽配信サイト同様、私達の日常に溶け込む一つのツールになりつつあります。
しかし、実際はまだまだ実態が掴めないと感じている方も多いのではないでしょうか。
「オフラインに加えてオンラインで繋がれる、イベント開催ができる」と漠然とした認知がほぼだと思います。たしかに、世界中どこにいても繋がれるメリットはこのコロナ禍でオンランコミュニティが注目される大きな理由です。
ただオンラインコミュニティの強みはそれだけではなく、革命的なのは「活動効果を数値化できる」という点なのです。既にそれに気づいた人達は、オンラインでのコミュニティ運営に大きな可能性を見出しています。
このように、まだ世に情報がなく、未だ謎が多いオンラインコミュニティの実態を、データサイエンティスト視点から様々な切り口で大解説していくのがこの「コミュニティ熱量研究所」です。
第一弾目となる今回のテーマは
「コミュニティのデータ化ってなに?」
実際にどのようなデータに着目すれば良いのか、またそれらをどう活かせが良いのか、既にコミュニティを運営されている方々も、いまだにはっきりとした定義が掴めずにいる人が多いと思います。
ECサイトであれば、ページビュー(PV)数やコンバージョン率、音楽サイトの場合は再生回数やダウンロード数など、現状把握と成果分析のために見るべき項目は、ジャンルごとにおおよそ定まっています。
▶︎コミュニティに合った着目項目を知る
先ずはコミュニティという形態の特徴として、コミュニティの趣旨・要素によって着目すべき項目が変わる点を理解しておくことが大切です。分かりやすいのは運営目的を軸に次の様に見ることです。
このように、コミュニティごとに重視すべきデータ項目が異なるのは事実ですが、コミュニティデータサイエンティストの私としては、「コミュニティの状態を表すデータ」として、どのコミュニティにも共通した見るべきデータがあると考えています。
それは何か、オシロが導き出したコミュニティ分析セオリーを元に解説していきます。
▶︎コミュニティ運営で見るべき基本データ
オシロでは、どのコミュニティにも共通して重要なポイントは次の3点だと考えられています。
それぞれのポイントを細かく見ていきましょう。
⑴ 規模:コミュニティ成長の鍵を握るデータ
規模を表す数値としては、「現状の会員数」「新規入会者数」「退会者数」があげられます。現状の会員数の把握に加え、コミュニティの成長や規模の変化を知るためにも、新規入会者数や退会者数を常に確認することが重要と言えます。新規獲得のため取るべき施策、イベント企画やコンテンツ内容の改良など、会員の増減傾向の把握はコミュニティ成長に欠かせないアクションの一つです。
⑵ 活発度:メンバーの満足度を示すデータ
活発度を表す数値としては「サイトログイン率」「メッセージ投稿数」「記事の投稿数」「イベント参加人数」などがあります。メンバーを積極的に巻き込む、参加型コミュニティを目指している方には特に、重要なポイントになります。「アクティブなメンバーがどのくらいいるか」を知ることはメンバーの満足度を測る一つの方法でもあります。
⑶ 特徴:コミュニティのファン層を表すデータ
これは「年齢・居住地などのメンバー構成」「興味関心」の傾向を把握し、①「規模」②「活発度」が示すデータと合わせて深掘りすることで見えてきます。どんな人が参加しているのか、どんな内容で盛り上がっているのかなど、コミュニティの特徴を理解することは、ファンを知る上でとても大切なポイントであり、メンバー同士が交流できるオンラインコミュニティだからこそ分析できるデータでもあります。
どうやってデータを把握すればいいの?
「見るべきデータ項目は分かったけど、どこで収集するの?」といった悩みも多いと思います。
一般的には、オーナーとメンバーとの交流頻度 / 運営側からの記事投稿 / メンバー同士のチャット / イベント参加率 /グッズ販売売上など、それぞれのアクションを異なるツールで行うため、ツールの数だけ別々にデータが存在します。
そうなると、どのメンバーがどのイベントに参加したのか、実際にコミュニティに関わっているメンバーは何人いるのかなど、現状の把握がとても難しくなります。
コミュニティのデータを正しく把握するためには、ツールを一本化し、データが一箇所に揃っていることが重要です。
OSIROでは、会員登録、チャット、記事の投稿、イベント作成、グッズ販売など、コミュニティ運営に必要な機能が集約されており、全データを管理画面で確認することができます。
どのメンバーがどのイベントに参加したのか、どのグッズを買ったのかなどのアクションに加え、月間どのぐらいサイトにログインしたのか、チャットを行ったのかなどを各メンバー毎にデータを見ることができます。月間動向で一番アクティブなメンバーを知ることもできてしまうのです。
活動効果の測定は様々な要素が複雑に連動しあうからこそ、データを一括して見比べることができる環境は、機能面の充実同様にコミュニティ成長に欠かせない大切なポイントだと感じます。
既にコミュニティを運営されている方は、ぜひ一度ご自身の活動をじっくり分析してみることをお勧めします。沢山の気づきとともに様々な悩みを解消する取っ掛かりが得られるかもしれません。
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